同じ作品を、時間が経ってから見返すと、全然見え方が変わる…ってこと、ありますよね。
自分の作品の粗が見え出すのもそうですが、他人の作品もそう。特にその曲を作ったミュージシャンと同じ年になってはじめて歌詞の意味が分かる、とか…そういう…そういう話です。
特に思春期の頃聴いていた曲や読んでいた本って、大抵の場合その作品を作った人は年上じゃないですか。だから当時は多分本当の意味は何も分からずに「なんかカッコいい」と思って摂取していたものが、今になって意味が沁みてくる…みたいなことが結構あり。
私、中学生の頃、「ゆず」が大好きで。ミュージシャンの方のゆずです。ゆずって、2人とも歌詞を書くことがあるのですが、北川さんの方がキャッチーでポップな歌詞を書き、岩沢さんの方が詩的で深い歌詞を書くんですよね。それでそれぞれが歌詞を担当した方が、その歌のメインボーカルをする…という形なんですよ。(今はどうか知らないですが)
ハマってたのは中学生の頃で、高校生以降は全然聴いてなくて。ほんとに。でも最近ふとその時聴いた歌詞のフレーズが頭に浮かんだりして、特に岩沢さんの歌詞の方。あの頃は共感は出来なかった気持ちが、年を重ねて今「ああ、あの歌詞そういう意味だったのかぁ」と思うことがあります。
他にあったのは、中学生の頃に図書館で借りて読んだ小説を、大学生の頃に古本屋で見かけて、「もう一回読んでみよう」と思い、購入して、読んだんですよ。
それは桜庭一樹先生の「荒野」という話だったのですが、確か10代はじめ〜高校生くらいまでの、荒野という名前の主人公の女の子の人生を描いていて。中学生の頃に読んで何も違和感のなかった部分で、大学生になって読んだ時に引っかかったんですよ。それは主人公が「自分はもう高校生で大人なのに」みたいなことを言うシーンでした。
中学生の頃は、「高校生が大人である」という認識に何も違和感を感じなかったのですが、大学生になると「高校生…大人ではなくない…!?」と感じ方が変わっていて。
当然作者の先生も大人なのですが、こうやって「高校生の主人公は自分のことを大人だと思っている」の感覚を忘れずに小説の中で瑞々しく描けるの、すごい…!とびっくりしましたね。
それで言うと、中学生の頃にどハマりしていたドラマのTRICKに、大人になってからもう1回ハマったのもあったな…中学生当時でもTRICKは古いドラマで、DVDをレンタルして全部見たのですが、今は(その再燃した時期は)アマプラに来てて…手軽に見れてしまい。
中学生の頃は結構ミステリードラマとか事件もののドラマとか好きで、TRICK以外にも踊る大捜査線とかも嬉々として見ていて、ミステリー小説も好きで、そういうの全然平気だったのですが。今はメンタル病んでそういうのが怖くなってしまったので、今見ると「TRICK結構エグいな…」と、それもまた感じ方が変わりました。主人公らへんが死なないだけで、他の人バンバン死ぬし…宗教とか…因習村とか…裏切りからの殺害とか…結構描かれてるし、あえて後味を最悪にしてる話も結構あって。でもそれを押してもギャグとちょっとラブ?の配合も含めて全体が面白いので、今見ても面白かったし、ハマってファンアートを描いたりしてましたね。令和やぞ。でも時間が経っても愛される作品だと思います。(あと中学生の頃は分からなかった下ネタが今見ると分かって笑えるようになった…のも面白いところでした。ここだけの話。)
作品そのものは時間が経っても変わらなくて、何十年も前の曲や本や絵画が今でも楽しまれていたりして。でも受け取っていく側は歳をとっていくし、経験を重ねていくし、世界もどんどん変わっていくので、それで相対的に作品の受け取られ方が変わっていく…って、面白い話だと思います。
これからもっと人生を重ねていろんな経験をしてくことで、作品を受け取れるセンサーというか、受容体が増えるんだな〜ということですね。そう思うと歳を取るのも悪く無いですね。年齢や経験を重ねることで、同じものを色んな角度から見れる…ってなんておトクなんでしょうね。好きな作品って何度噛んでも美味しいもんね。
絵に関しても、他人の絵で何年もずっと好きな作品、何年もずっと忘れられない作品…というのがあるので、願わくば私も誰かにとってのそんな作品が作れるといいな〜と思います。精進いたします…!
という話でした。書きたいことは書いたので、ここで終わります。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。さよなら〜
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