※以下虫の話が出てきます。
※生死の話が出てきます。
ここ3、4日くらい、蝿と同居していました。別に同居したくてしていたわけではないのですが、いつの間にか部屋に1匹の蝿が入り込んで。そのうち出ていくだろうと思って何もしていませんでしたが、時々羽音がするのを聞いて、うるさいな、まだいるのか、と思っていました。
昨日の夜も羽音がしていたため、あ、まだいるのか、ということに気付きました。普通なら別に殺してもいいのかもしれませんが、私は極力虫を殺したくありません。「殺した」という事実が残るのが嫌なのです。自分の手で何かを殺めた感触を感じたくないのです。害虫と呼ばれる蚊やゴではじまるアイツ等は実害があるため殺すしかないのですが、蜘蛛などは放置しています。10cmくらいあるデカい蜘蛛は踏んだりしたら嫌なので、バインダーなどに乗せて家の外に出しています。
今回も蝿を極力殺したくなかったため、出来れば捕まえて外へリリースしたいなと思いました。ティッシュで捕まえてみようと試みてみますが、蜘蛛とは違い、蝿には羽が生えているし、そのうえ小さい。羽音を鳴らしながら簡単に逃げられたかと思えば、気まぐれに指の先に止まったりして。このまま外へ行けば…と思い玄関へ向かい移動するとまた指から離れ部屋の中を飛び回ってしまう。埒があかないな…と思い、結局昨日は諦めてそのまま蝿のことは意識の外へ出てしまいました。
今日もパソコンへ向かって作業していると、蝿の羽音が聞こえました。あいつ、まだいるのか…。どうにか外へ出せないか…と思い、またティッシュで捕まえようとします。でも逃げられてしまい、上手く捕まえられません。その間も蝿はパソコンに止まったり、カフェオレの入ったカップの縁に止まったりします。カップの縁に止まられるのなんか嫌だな…。次カフェオレに口をつける前に、ノンアルコールのウェットティッシュでカップの縁を拭きました。蝿だもんなぁ…。
そうだ、別に玄関から出さなくても、部屋の窓から出て貰えばいいんだ!と思い立ちます。羽生えてるし。飛んでくだろう。「お前には出てってもらった方がお互いのためだろ。出てってよ。」と意味もなく蝿に話しかけながら、部屋の暖房を止めて、窓を大きく開け放ちました。寒いです。最近急に寒くなったのに、私は何を…と思いながら、部屋の中の蝿に手を伸ばし、そこから逃げる蠅を窓の方に誘導しました。1回窓の方にいったと思ったらまた部屋の奥の方へ行ってしまい…というのを何回かしたあと、窓の方向へ向かって飛ぶのが見えた後、蠅の姿が見えなくなりました。お、とうとう出たか。長かったなぁ。「もう知らんよ。これで出てなかったらもう殺してもいいよね。」と独り言なのか猫に対して言ってるのか、そう呟いてから、パソコンの前に座って作業に戻ります。しばらくするとまたブゥ〜ンと小さな羽音が聞こえてきました。あいつ、まだいるのか…。
仕方ない、もう殺すつもりで捕まえるしか…と思い、ティッシュを取って蝿に立ち向かいます。しかし、どうしても握り殺すつもりで勢いよく捕まえることが出来なくて、躊躇してしまいます。フワッと掴もうとしてしまい、その度に蝿に逃げられます。なんなら奴は私の体に止まったり、猫の体に止まったりします。バカにしおって…。
私はそこでふと、なんかねちょねちょするもので蝿を捕まえるアイテム的な…なんかそんなやつがあったな…とぼんやり思い出しました。そうだ!粘着質なもので蝿を捕まえて、外に出せばいいんじゃん!しかし粘着質なもの…部屋にあったかな…と考えたところ、両面テープがありました。これを指に巻いて…そこに蝿を止まらせれば、そのまま外に出せるんじゃないかな、と思い付きます。そしてそれを実行しようとしました。指に両面テープを巻いて、蝿を追いかけます。やっぱり逃げられますが、しばらくすると両面テープの上に止まりました。お!いける!と一瞬思いましたが、結局蝿は何事もなかったかのように、また両面テープの上から飛び去っていきました。意味ないやんけ!そうか〜まぁ両面テープだとそうか…。
結局まぁそのうち出ていくのを待つしかないのか…と思い、またパソコンの前に座り、作業に戻ります。ラジオを聴きながらパソコンに向かっていたら、いつの間にか作業に集中してしまい、また蝿のことは意識の外に出ていました。しばらくして喉が乾き、カップウォーマーであたためていたカフェオレを飲もうとマグカップを手に取ると、何か違和感があります。なんか浮いてる、何。黒くてちっちゃい…。
よく見ると、それは蝿でした。カフェオレの海に浮かんで死にかけていました。ピクピクしています。
う、うわ…カフェオレがダメになっちゃった…という気持ちと、このまま持っていけば蝿を外に出せるんじゃないか、という気持ち、そして蝿が死にかけていることに驚いた気持ちがない混ぜになったまま、マグカップを持って玄関の外へ出ました。
もったいないなと思いながら庭にカフェオレを流すと、庭の土の上へ蝿が落ちました。やっぱりピクピクしています。一度は自分で殺そうとしたのに、この蝿がこのまま起き上がってまたどこかへ飛び去っていかないかな…と思ってしまい、しばらく街頭に照らされた夜の庭に横たわる蝿を眺めていました。3分間か、5分間か、そのまま眺めていると、蠅は動かなくなりました。結局カフェオレに溺れて死んでしまったようです。
別にただの蝿なんですが、目の前で数日一緒に過ごした何かが死ぬ瞬間を見るのはなんとなくショックで、寂しかったです。冬が近づく季節の夜の寒さにふるえながら、思わず「こんな終わり方かぁ…」と、ぽつり、呟きました。
2024/11/09 日記
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